ファッション産業が「世界2位の環境汚染産業」だと指摘されていることをご存じでしょうか。洋服を作り、運び、売るまでにいくつもの工程があり、廃棄まで含めると環境に与えるダメージがとても大きいためです。しかし、近年こうした環境に負荷をかける衣服のライフサイクルの見直しがおこなわれ、地球環境に配慮した取り組みは急速に多様化し、広がっています。
今回は、衣服の生産が地球に与える影響と消費者意識についてご紹介します。

1枚の服を生産するために必要な資源は?

服1着を生産するために消費するエネルギーと必要な資源は、500mlペットボトル約250本製造分の二酸化炭素の排出量と浴槽約約11杯分の水と言われています。*1それ以外にも、綿の栽培に使用される殺虫剤が土壌に悪影響を与えたり、糸を染色する際に出る廃水が土地を汚染するなど、地球環境に大きな負担をかけています。

また、トレンドの移り変わりの激しいファッション業界は、生産数の約半分が売れ残り、その多くが償却や埋め立てによって処分されています。日本国内でも毎日大型トラック約130台分の衣服が廃棄されています。*1



進む温暖化

地球温暖化の「後戻りできない状況」を回避するためには、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えることが必要だといわれています。既に地球の平均気温は1850年以降に約1.1℃上昇しており、上昇幅の余裕はわずか0.4℃しかありません。国連の世界気象機関(WMO)によると、2022年から2026年までの5年の間に気温上昇が1.5℃を超えてしまう可能性は50%近くと発表しています。*2平均気温の上昇が1.5度になると、50年に1度という高温は8.6倍に、10年に1度という大雨の頻度も1.5倍になると予測しており(IPCC報告書)、自然災害への激甚化が懸念されます。

「私たちは岐路に立っています。今日私たちが下す決定によって、住み続けられる未来を確保することができるのです。」李会晟(イ・フェソン)IPCC議長はこのように語っています。

若い世代の衣服を消費意識

昔に比べ人々は地球環境や労働者の権利に敏感になり、製品の持続可能性について関心が高まっています。特に若い世代は、衣服の購入時に「環境や人・社会に配慮した製法や素材を使っているかどうか」を意識する割合は年齢別にみると、40代~60代に比べ相対的に高いという結果が出ています。また、古着の購入への抵抗感が少ないのも、男女ともに10代20代が一番低く、年齢が高くなるほど抵抗感があると答える割合は増えるという調査結果があります。*3
一方で、環境問題には関心はあるけど、なかなか行動に移せていない。サステナブルな商品を購入したいけど高くて買えない。環境問題も分かるけど、いろんな服を着たいから安くてトレンドのアイテムが欲しいというジレンマを抱えている若い人も多いはずです。

次回は、こうした悩みの解決方法の一つとして注目のファッションレンタルサービスの普及とネトカリの取り組みについてご紹介します。

参考文献
*1環境省 「SUSTAINABLE FASHION」
*2 WMO (2022年5月)『WMO Global Annual to Decadal Climate Update for 2022–2026』
*3消費者庁 (2021年7月)「サステナブルファッション」に関する消費者意識調査

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